ばね指の鍼灸症例

人間の指は、動かせるように腱が付いています。

そして、その腱が浮き上がらないように、また指がスムーズに動かせるように「靭帯性腱鞘」が付いています。（下記の図参照）

しかし、仕事や家事・スポーツなどで手を使い過ぎてしまうと、腱と腱鞘がこすれて「炎症」を起こす事があります。

最初は、動かした時に痛いだけかも知れませんが、進行すると腱がコブ状に腫れます。

そうすると、指を曲げたり・伸ばしたりすると「カックン」と、ばね現象を起こすようになります。

これを「ばね指」と言います。

症状が更にひどくなると、指を曲げたり・伸ばしたりする事が出来なくなる人もいます。

このばね指ですが、更年期などの「ホルモンバランス」が崩れる時期にみられる事が多いです。

その他、妊娠・出産時にもみられます。

患　者）４８歳女性

来院日）令和５年６月２日

主　訴）左第一指のばね指

一ヵ月ぐらい前から親指を曲げたり・伸ばしたりすると、指が引っかかるようになる。

特にフライパンを持った時、車の運転でシフトレバーを握る時は、親指に力を入れるので痛い。力が入らないので、両手を使って動かしている。

自分で、指の安静を保つため「テーピング」を貼ってみたが効果を感じない。

また、指の付け根をマッサージしてみると、かえって腫れて痛くなった。

このような症状が出る前から、他の指の末端の関節が痛かった。

女性ホルモンが足らないのかと思い、エクオールを服用していた。

施　術）

脈の状態をみさせてもらうと、脈が細く血流が悪い事がうかがえる。また、お腹の状態をみると、扁桃の弱り（免疫力の低下）があった。

扁桃の弱り（扁桃病巣感染症）があると、腱の「炎症」を助長させるので、扁桃の施術が必要になる。

また、瘀血（おけつ）による血行不良もあるので、瘀血の施術も必要。

これらが、この女性の回復を妨げる原因になっているので、鍼灸で処置をする。

そして、最後に「ばね指」に効果を発揮するツボにお灸をした。

初回、来られた時の「親指」の状態は、下記の動画を参考にして下さい。

その後、鍼灸治療と自宅でのお灸を続ける事により、３週間後には、親指のひっかりも無くなり、曲げ伸ばしがスムーズになった。

ただ、指を曲げた時に、右手と違って違和感が少し残っていると、聞く。

施術は、継続中。

考　察）

この女性の場合、年齢から考えると更年期にあたり「女性ホルモン」の減少があったと考えられます。

その為、血管の拡張性が悪くなり、血行不良が起きていた。

鍼灸治療で、「血行不良」と「扁桃の弱り」に重点を置いた結果、一ヵ月間悩んでいた「ばね指」の症状が３週間程で改善がみられました。

今回、良い結果に結びついたのは、「自宅でお灸をしてもらった事」、「なるべく指に負担をかけないように気をつけてもらった事」、「早期に施術を開始できた事」が、功を奏したと思われます。

ただ、全ての方が改善する分けではありません。

半年・一年と慢性化したもの、指が全く動かなくなって時間の経過したもの、仕事や家庭の事情で手の酷使を減らせない方は、難しいと思われます。

※施術の効果には、個人差があります。

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