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自律神経失調症専門おかだ鍼灸院 

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自律神経失調症専門

機能性ディスペプシアと鍼灸症例

【筆者】岡田匡史(鍼灸師)

機能性ディスペプシアとは?

検査をしても異常のでない胃の不調(慢性的に心窩部痛や胃もたれなどの心窩部を中心とした腹部症状)を機能性ディスぺプシアと呼びます。

症状
  1. 食後のもたれ感、早期膨満感を主体とした食後愁訴症候群          
  2. 心窩部痛、心窩灼熱感を主体とした心窩部痛症候群
診断基準(Rome Ⅲ)

【除外条件】

・症状の原因となりそうな器質的疾患が確認されない

【罹病期間】

・六か月以前から症状があり、最近3ヵ月間は下記の症状を認める

【症 状】

以下の項目が1つ以上あること

  • つらいと感じる食後のもたれ感
  • 早期飽満感
  • 心窩部痛
  • 心窩部灼熱感
機能性ディスペプシアの有病率

機能性ディスペプシアの有病率は、日本人において、健康診断受診者の11~17%とされており、病院を受診して、「上腹部症状」を訴えた患者の45~53%にみられるとしている。機能性ディスペプシアは、若年者が高齢者よりも発症しやすく、女性が多いと欧米の調査研究では報告されている。

 

生活習慣に気をつけること

機能性ディスペプシアに良くない生活習慣は、「食習慣」・「嗜好品」・「日常生活の問題」が挙げられる。良くない食習慣には、脂っこい物・甘い物・刺激が多い物の取りすぎ・早食い・深夜の食事などの不規則な食生活などが挙げられる。

 

喫煙や過度のアルコール摂取など嗜好品も良くない。過労・睡眠不足・ストレス・運動不足も機能性ディスペプシアに好ましくない生活習慣となる

 

薬物療法

【病院で行われている治療法】

  • 消化管運動機能改善薬(モサプリド・アコチアミド)
  • 酸分泌抑制薬
  • H.pylori除菌療法
  • 抗不安薬・抗うつ薬
  • 漢方薬

【参考図書】

  • 1336専門家による私の治療(日本医事新報社)
  • 病気がみえる①[消化器](MEDIC MEDIA)
  • 鍼灸臨床指針(ヒューマンワールド)

機能性ディスペプシアの鍼灸症例4

来院日)令和5年8月31日

 

患 者)25歳男性

 

主 訴)吐き気・胃が重い

6年前に十二指腸潰瘍になった事がある。

その後、吐き気(特に朝)が起きるようになる体調が悪く仕事に行く事ができない。

 

病院では、「機能性ディスペプシア」と言われた。他の病院では、「パニック障害」とも言われる。

 

随伴症状)喉の詰まり・立ちくらみ・手足の冷え

 

施術と経過)

脈の状態をみると、交感神経緊張がうかがえる。

また、お腹の状態を確認すると、多くの圧痛があった。このように多くの反応が出ている場合は、自律神経の乱れがある方に多い。

 

また、血流・免疫にも問題がある事が分かった。

 

これらを改善するツボに鍼を行う。

 

鍼をすると、お腹の圧痛が軽減したので第一回目の施術を終える。

 

■第二回目

特に変化がなく「吐き気・胃が重い・喉の違和感がある」と、お聞きする。

施術は、同じ。

お灸のやり方を伝え、自宅でやるように勧めた。

 

 

■第三回目

「吐き気が少しおさまってきた」と、聞く。喉の違和感は、変わらずにある。

施術は、同じ。

 

■第四回目

「2日前に整体を受けに行ってから、吐き気が増した」と、お聞きする。

施術後は、お腹の圧痛が軽減する。

 

■第五回目

「昨日は、体調が悪かったけれど、今日は少しましになった」と、お聞きする。

 

■第六回目

心実を抑える、ツボを追加して施術を行う。

施術中に、「のど違和感」や「吐き気」が軽減した。

 

■第七回目

「前回、施術を受けてから、吐き気と喉の違和感が減って良かった」と、お聞きした。

 

■第八回目

「仕事に復帰した」と、お聞きした。以前よりだいぶ調子が良くなったようだった。

ただ、電車で鍼灸院に向かう途中で、気持ち悪くなる。

 

■第10回目

一ヵ月ぶりに来られる。「体調は、以前より良い」と、聞いた。

仕事も行っている。

 

疲労やストレスで、体調を崩す(吐き気・胃の重さが復活してしまう)事があるので、体の「メンテナンス」を伝えて施術を終える。

 

施術は、継続中

 

考 察)

最初に来られた時は、自律神経の乱れが強く、体(ツボ)にたくさんの反応が現れていた。

 

しかし、施術を続けていくうちに、たくさんあった反応も減っていった。

 

この事から、自律神経の乱れが整い、血流・免疫の状態も改善され、「吐き気」・「胃の重さ」が取れてきたのだと思う。

 

※施術の効果には、個人差があります。

機能性ディスペプシアの鍼灸症例3

来院日)令和4年8月13日

 

患 者)38歳女性

 

主 訴)

今年の2月頃から、食後に関係なく「胃の不快感」・「のどのヒリヒリ」・「吐き気」などが現れるようになった。

 

病院で検査をしても異常がなく、改善がみられないので何軒か病院を変えてみた。

 

診断名は、「機能性ディスペプシア」と、言われていた。

 

ある病院では、『セロトニンが少ないから「腹式呼吸」や「あくび」をするように』と、言われていた。

 

 

施術と経過)

脈をみると、交感神経の緊張により血流の悪い状態を表していた。また、鳩尾(みぞおち)と胃のツボを押すと圧痛があり、心の不調・胃の不調を表していた。

 

これらを改善するツボに鍼をして、第一回目の施術を終える。

 

■第二回目

昨日、スイカを食べてしまったら、気持ちが悪くなった。今朝も、その状態が続いている。その為、おかゆを食べてきた。

 

お腹を指でやさしく押してみると、鳩尾(みぞおち)と胃のツボに強い反応があった。

しかし、施術後には、その反応が消えた。自宅でも、お灸をするように勧めた。

 

■第三回目

前回、施術を受けた後、吐き気がおさまった。

その後、3日間ぐらいは良い日が続いた。しかし、また不調になり市販薬を服用中。

 

■第四回目

胃の不快感・喉のヒリヒリ・吐き気などの不調が、「最初を10とすると、2ぐらいに減った」と、お聞きした。

 

■第五回目

昨日の夜から下腹部が痛くなる。子供が風邪を引いて熱を出したので、お腹に来てしまったのかなと、お聞きした。

 

■第六回目

今日は、最初の不調を10とすると0だと、お聞きした。朝は、ご飯が食べられたと、聞く。

 

施術は、継続中

 

考 察)

以前、機能性ディスペプシアは、「神経性胃炎」・「ストレス性胃炎」と言われていました。

 

故:長野潔先生の著書(鍼灸臨床 新治療法の探求)には、臨床の立場から心経を観察すると、

 

  1. 心臓を中心とした循環器疾患
  2. 胃炎、胃潰瘍のある型
  3. 神経症
  4. リウマチ性疾患
  5. 血圧の異常

等に最も深い関係を持ち・・・・。と、書かれています。

 

この事からも、この女性の「心」の不調を整えた事や、消化吸収に関係のある「脾」の不調も整えた事により、功を奏したと思われます。

 

ただ、疲労の蓄積・季節や温度の変化・精神的ストレス・食生活などの影響を受けるので、体調管理が必要です。

 

また、この女性の場合は、早期の改善がみられましたが、3ヵ月・半年とかかる場合が多いです。

 

 

※施術の効果には、個人差があります。

機能性ディスペプシアの鍼灸症例2

来院日)平成30年11月10日

 

患 者)27歳女性

 

主 訴)

食後の吐き気・食欲不振・胃が重い・少量しかご飯を食べられない。

 

約一年前より、上記症状が現れる。病院で胃カメラを行うが異常なし。機能性ディスぺシアと診断され「アコファイド」を処方される。

 

しかし、食後の吐き気・食欲不振・胃が重い・少量しかご飯を食べられない状態が、約一年も続く。固形物を食べると調子が悪くなるので、春雨スープなどを飲んでいた。それでも、調子の悪い時は、水を飲んでも胃の不調が出てしまう。体重も減った。

 

その間、自律神経失調症の整体院にも、一週間に一度の割合で通っていたけれど、改善がみられない。

 

たまたま、おかだ鍼灸院のホームページ(機能性ディスぺシア症例1)をみて来院する。

 

治療と経過)

お腹の状態・脈の状態から

1.瘀血(おけつ)による内臓の循環障害がある事

2.肝臓の弱り

3.脾臓の弱り

などの影響を受けて、胃の不調が回復しない事が分かる。

 

これらを改善するツボに、はりを行い第一回目の施術を終える。

 

第二回目)

来院日の昼食は、ブロッコリーを食べただけ。胃の症状に変化がなかった。

瘀血(おけつ)の改善を重点的に行う。施術後、「お腹が少し空いた」とお聞きする。

自宅でお灸をするように勧める。

 

第三回目)

食欲が少し出てきた。胃のもたれも減ってきた。便秘が気になるようだが、食べていないので出ないのは、気にしないように伝える。

 

第四回目)

お茶碗に軽く一杯のごはんが食べられるようになる。

 

第五回目)

胃の具合は、6割ほど良い。しかし、食べた後は、ちょっとスッキリしない感じがある。

 

第六回目)

今日の昼食は、サケを食べたと聞く。以前は、ブロッコリーや春雨スープなどと聞いていたので、胃の具合が良くなってきたのがわかる。

 

第七回目)

調子が良くなってきたので、お正月に食べ過ぎて悪化してしまうのでは?と、私は心配していた。しかし、本人が気をつていたようで、問題なかった。

胃の具合は、8~9割程良いと聞く。食後の胃のもたれもない。体重は、二㎏増えた。

 

その後)

8か月後の7月10日には、体重が5㎏増えて以前の体重に近づいてきた。お灸は、自宅で毎日継続しているとお聞きする。

 

※去年は、食後の吐き気・食欲不振・胃が重いなどの影響で食べられなくなり、体重が10㎏減っている

 

考 察)

回復を阻害する原因は、機能性ディスぺシア1の鍼灸症例と同じく、瘀血(おけつ)による内臓の循環障害を強く受けていた。

第二回目までは、症状の変化がなかったが、瘀血(おけつ)を改善する事に重点に行ってから、症状の改善がみられ始めた。

 

また、本人が、自宅でのお灸を頑張ってくれたおかげで「機能性ディスぺシア」と診断された食後の吐き気・食欲不振・胃が重い・少量しかご飯が食べられないという症状が改善されたと思う。

 

 

※施術の効果には、個人差があります。

機能性ディスペプシアの鍼灸症例1

来院日)平成29年9月8日

 

患 者)72歳女性

 

主 訴)食後の胃のもたれ・背中の痛み

一年ぐらい前から、昼食を食べた後に胃のもたれ・背中の痛みが起こる。背中の痛みは、夜になると余計に痛む。このような状態だったので寝込んでいた。

 

そして、「外出する気持ちもないし」・「何かをやる気にもなれない」。

 

病院では、検査をしたけれど特に異常がなく「機能性ディスペプシア」と診断された。薬を服用しているが、効果を感じない。

 

以前、都内にある鍼灸院で治療を受けていた頃、体の調子が良かった。鍼灸で胃のもたれ・不快感・背中の痛みが楽になる事を期待して来院される。

 

治療の経過)

腹診で、この女性の身体の状態を調べると、特に免疫力の低下・瘀血(おけつ)による内臓の血液循環障害をうかがわせる反応がある

この影響により食後の胃のもたれ・不快感・背中の痛み(機能性ディスペプシア)が回復しないと考える。

 

施術は、免疫力(慢性扁桃炎)の改善と内臓の血液循環を良くするツボを使う。

 

第2回目の施術

背中のが重い・ガスが溜まりやすいなどがある。症状に変化なし。

 

第3回目の施術

昼食後に胃のもたれ・背中の痛みあり。

 

第4回目の施術

胃のもたれ・背中の痛みが軽減する。

今まで調子が悪く「家から出たくない」・「やる気がしない」などの気持ちであったけれど、何かをしようという気持ちになってきた。

 

第5回目の施術

最近、調子が良くなり物置の整理をしたかったので始めた。

 

第8回目の施術

泊りがけで、孫とディズニーランドに行く事ができた。完璧ではないけれど、大分調子よい。

また、旅行に行けそう。

 

ただ、急に動けるようになり、日常生活の事をやりすぎて体が疲れた。

 

現在も治療を継続中。(平成29年11月27日)

 

 

考察)

扁桃病床感染症の中には、食欲不振・むかつき・腹痛などの消化器症状も出る事が知られています。この影響により胃のもたれ・背中の痛みが現れていたようでした。また、瘀血(おけつ)による内臓の血液循環障害のため、慢性化していたようです。

 

3回目までは、変化がありませんでしたが、4回目から急に身体が好転してきました。

 

「すぐに効果って現れないの?」と思うかたもいると思いますが、1年間(365日)も薬を服用しても改善しなかった不調が4回目で変わってくるのは、かなり鍼灸の感受性の高い方だと思います。

 

いろいろな不調で、鍼灸をお試しで1~2回受けにくる方もいますが、慢性化したものは、改善するのに時間がかかるものです。

 

あちらこちらに、ドクターショッピングをして遠回りをしている方も見うけられます。少し腰をすえて施術を受けるのも大切です。

 

 

※施術の効果には、個人差があります。

プロフィール

岡田匡史(おかだまさし)
1978年生まれ
経歴

1日400人以上来院する整形外科・都内の鍼灸整骨院で鍼灸の施術とリハビリを担当する。

取得国家資格

・はり師
・きゅう師
・あん摩マッサージ指圧師
・柔道整復師

所在地

おかだ鍼灸院
住所
埼玉県幸手市中4−18−16
 
駐車場有り
①・②に2台駐車できます