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鍼灸一筋の独り言

更年期の手のこわばりなら、このツボ!照海と兪府

【筆者】岡田 匡史(鍼灸師)

経歴:平成20年 おかだ鍼灸院を開業

手のこわばり

更年期の手のこわばりには、女性ホルモンが関係していた!?

朝に起きる手のこわばりと原因

改訂日)令和2年7月26日

 

40代後半や50代女性の中には、「朝起きた時に、手がこわばっている」という、お悩みを聞く事があります。

 

手のこわばりがあると、「リウマチかしら?」と心配になっている方が多いようです。

 

確かにリウマチでは、朝起きた時に手のこわばりがある事が知られています。

 

もし、あなたの両手の指の第二関節が腫れていたり手首が腫れているようであれば、病院での検査をしてもらった方が良いでしょう。

 

しかし、指や手首の関節の腫れもないし、病院で検査をしても異常がないのに、手のこわばりが現れている方がいます。

 

考えられるのは、日所生活で、手を良く使っている可能性がある事です。

 

例えば、

手の使い過ぎによって、複数の指が『ばね指』や『腱鞘炎』のような状態になっているなどです。

 

もう一つは、更年期の影響により「手のこわばり」が起きている可能性があります。

女性ホルモンの減少と手のこわばり

日本人女性の閉経は、50.5歳が平均とされています。そして、この前後5年間(45~55歳)は、「更年期」に当たります。

 

更年期の女性の身体では、何が起きているのかというと、卵巣機能の衰えが始まって、女性ホルモンの分泌が減少から消失に向かっています。

 

女性ホルモンが、どのような働きをしていたかというと、その一つに「血管拡張作用」がありました。

 

血管が拡張していると、血行が良いので筋肉も凝りにくくなっていました。しかし、この働きが弱くなると、血管が縮んでしまい、血行が悪くなります。

更年期に入ってから、「肩が凝るようになった!」・「背中が張るようになった!」・「腰が痛い!」・「頭痛が起きるようになった!」などは、この理由が考えられます。

 

そして、更年期に入ってから、朝起きると「手のこわばりが気になる」という方も、この女性ホルモンの減少が関わっていると考えられます。

 

胸と足のツボを使って、手のこわばりが楽になる!

手のこわばりに、「手や腕にあるツボを使うのかな?」と思う方も多いと思いますが、実は、違います。

 

純粋に、腕を使い過ぎている方の場合でしたら、その方法も良いでしょう。

 

しかし、更年期による手のこわばりは、大元にアプローチする「ツボ」が必要です。

手のこわばりを取る(兪府穴)
1つ目は、兪府(ゆふ)と呼ばれるツボ!

このツボは、鎖骨付近にあります。ちょっと難しい話になりますが、兪府は、副甲状腺に影響を与えるツボと知られています。

 

副甲状腺からは、カルシトニンと呼ばれるホルモンが分泌していて、血液中のカルシウム濃度を調節しています。

 

そして、血液中のカルシウム濃度が、なぜ重要なのかというと「自律神経の興奮性」に影響を与えているからです。(※自律神経は、血管を広げたり・縮めたりする作用に関わります。)

 

もし、血液中のカルシウム濃度が低くなっていると、交感神経が興奮して血管が縮みます。そうすると、血流が悪くなります。

 

逆に、兪府を使うと、ちょうどよい血液中のカルシウム濃度になり、交感神経の興奮性も低下してます。そして、血管も拡張するので血流が良くなるという具合です。

手のこわばりを取る(照海穴)
2つ目は、照海(しょうかい)と呼ばれるツボ!

照海は、内踝の下にあるツボです。このツボは、身体にどのような変化を与えるかというと、腎臓の上にある副腎を元気にしてくれます。

 

副腎が疲労していると、女性ホルモンを分泌できませんが、元気の場合は、女性ホルモンを分泌してくれます。この副腎のおかげで、更年期の身体の変化を和らげてくれるのです。

 

兪府と照海のツボを鍼で上手く使っていくと、朝の手のこわばりが楽になった方を経験しています。

 

 

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【参考図書】

  • 病気が見える9(婦人科・乳腺外科)・・・MEDIC MEDIA
  • 鍼灸臨床わが三十年の軌跡・・・医道の日本社

 

プロフィール

岡田匡史(おかだまさし)
1978年生まれ
経歴

1日400人以上来院する整形外科・都内の鍼灸整骨院で鍼灸の施術とリハビリを担当する。

取得国家資格

・はり師
・きゅう師
・あん摩マッサージ指圧師
・柔道整復師